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第923話

目の前のドアに付いていた手がゆっくりと下がり、スラックスの上から股間を撫でる。 教え込まされてきた快感が全身を襲った。 吐いた息は自分でも解る程アツく甘い。 「遥登」 ゆっくりと身体を動かすと手を離された。 自由になった右手も口を覆うのに使う。 「頂戴。」 長岡は手の甲をちゅぅっと吸い、ぺろっと舐めた。 綺麗に整えられた眉。 セットされた髪。 すぐそこで自分を見詰める、あの目。 くらくらする。 「ほら、手退けな。 キスしてぇだろ。」 したい したいけど… 力なく首を降るが、股の間に脚を入れられすりすりと太股で股間を擦ってきた。 テスト勉強に主な時間を使い溜まっているものがある。 「…ん"」 「強情張んなよ。」 遂にはネクタイを引っ張られた。 バランスを崩した隙に両腕を捕まれ口を食まれる。 あ…っ 身体を離そうとしてドアに頭をぶつけ、更に深いものへと変わっていく。 股間を擦る太股もそのまま緩く刺激してきた。 「ンん"…」 駄目なのに、長岡は構わず口内を嬲る。 舌を舐め、吸い、上顎を擽り、腿で煽り続けられた。 息の出来ない三条は鼻にかかる声を漏らしてしまうが、長岡はそれでもやめない。 長岡だって仕事が忙しい時期だと頭では解っていても、愛しい恋人とのキスに三条の身体は喜んでいた。 嬉しい。 だって、好きな人とのキスが嫌な筈ないだろ。 何度も何度も唇を食まれ、好きな人とのキスに此処が学校だと忘れそうになる。 くるし… 息、出来ない やばい… 唇が角度を変える隙に呼吸をするが、それも一瞬でどんどん苦しくなってきた。 「ぷ、ぁ…」 「今更照れんなよ。 はるちゃん。」 やっと離された唇が唾液で繋がって、三条は慌てて口を覆った。

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