924 / 1273
第924話
1年生教室からの帰り道、先を歩く見慣れた頭を見付けた。
3人組は段々と階段の様な絶妙なバランスで並んでいる。
綺麗に並んでんな
階段かよ
微笑ましい生徒にテスト作成で疲れた身体から力が抜けていく。
クシュンッ
突然、長身の生徒は身体を揺らした。
その時から気になっていた長身の生徒のくしゃみ。
朝晩の気温差も激しく、ぐっと冷え込む日も出てきた。
風邪だろうか。
この大切な時期に。
大切な話が出てると言うのに。
それなら、自分が貰う。
とは言っても、相手もそう簡単には譲らない。
個室に引っ張り込むも、キスは駄目だと口を隠してしまった。
この子らしいが今はそれを尊重してはやれない。
無理矢理唇を重ね、口内を嬲り風邪が移るように執拗に粘膜を触れ合わせていく。
遥登の好きな上顎を舐めると鼻にかかった甘い声を漏らした。
外から音はしないが、何時誰が利用するかも分からない。
早く済まさないと、と思うと同時にそれにすら興奮する。
「ぷ、ぁ…」
「今更照れんなよ。
はるちゃん。」
口を離すと繋がる糸に恋人は頬を赤らめまた口を覆い隠してしまった。
「……移っても知らないですからね、」
「願ったり叶ったりだ。」
三条の髪をくしゃりと撫で鼻を埋めた。
早く風邪なんて治して元気になってくれ。
ともだちにシェアしよう!