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第930話

3学年の他クラスの試験監督は今年度はじめてだ。 窓辺の植木鉢、カラーボックスに詰まるファイルや学校資料、掲示物や同じ備品でも配置や色が違うだけで全く別物。 空気もビリビリしていてなんとも3学年らしい。 A組が穏やか過ぎるのだろうか。 A組はA組だし比べる事はないけどな まぁ、俺も人の事言えねぇか んな勉強漬けって訳でもなかったし 窓から入る風がすっかり秋めいたのも、気持ちが良いのも気が付いているだろうか。 下を向く女子生徒の髪を揺らしては教室の空気に溶ける。 手元の書類にざっと目を通すと、胸ポケットに差しているポールペンで書き込みをしていく。 お土産のボールペンは使い心地が良く替え芯を買って使っているが、使い過ぎで印刷が少し擦れてしまった。 勿体無い。 だけど、このペンを見たら送り主はどんな顔をするだろうか考えるとそれはそれで楽しい。 「先生、消しゴム落としました。」 「はい。 ちょっと待ってください。」 スニーカーのゴム底をきゅっと鳴らしそこに向かう。

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