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第947話
肉、魚、野菜、と一応買ったが食材があると逆に何を食おうか迷ってしまう。
好き嫌いのない三条は、レトルトのソースにきのこや野菜を足したスパゲッティーもよく食べてくれるし、残り野菜で作ったチャーハンも美味そうに食ってくれる。
「なぁ、何食いてぇ?」
「俺が決めて良いんですか?」
質問に質問を返され食材が何時もに比べ豊富にある事を伝えるとうーんと考える。
隣にやって来た三条もしゃがみ込み冷蔵庫の中を覗いて思い出した。
「あ、火曜から球技大会」
「あ…」
三条の身体中を彩るマーキングに2人の動きが止まる。
特に三条は何処で着替えたら…と長岡に視線で訴えてきた。
「…悪い。
すっかり忘れてた。」
盛り上がり過ぎてすっかり頭から抜けていた。
付けまくったマーキングは2日3日じゃ消えやしない。
体育館の更衣室は運動部にとられ、文化部帰宅部はトイレや教室での着替えになる。
況してや、目敏い田上吉田との更衣ともなればからかわれるのが目に浮かぶ。
いや、からかわれるならまだ良いか。
歯型は流石に引かれそうだ。
長岡は額に手を当て謝罪した。
「……目玉焼きがのったカレーが良いです」
腕に触れるあたたかな手。
可愛いお強請りにそちらに視線をやると半熟だと嬉しいです、なんて言う。
「ん、今すぐ作る。
遥登の分は大盛りな。」
半熟の目玉焼きだろうが温泉たまごだろうが、そんな事で許してもらえるならいくつだって焼く。
いや、喜ぶ顔が見れるのならそんな事は簡単だ。
やった!と喜ぶ年下の恋人にまたも甘やかされてしまった。
この子には敵わない。
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