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第948話
「んまっ」
「良かった。
おかわりもあるから沢山食ってくれ。」
「はいっ。」
しあわせそうな顔でスプーン口に運ぶ三条はにこにことご機嫌だ。
目玉焼きののったカレーと野菜スープを美味そうに腹に納めている。
「遥登、あーん。」
「あ、いただきます。」
餌付けも慣れてきたのか比較的早く口を開ける様になった。
食べ物を詰め込み膨らむ頬。
せめてこの位肉付きが良くなれば良いのに、これだけよく食べてもまったく肉の付かない三条。
細さは入学当時から変わっていない。
身長も随分と伸び、あどけない顔は幾分か大人び、色っぽさも出てきたが。
よくよく見ると、服の上からでも胃が大きく膨らみ腹がぽっこりしているのが分かる。
ガリガリの身体のそこだけが異様で何度も見ても人間の身体はすごいと関心してしまう。
「相変わらず、すげぇ腹膨らむな。
ぱんっぱんじゃねぇか。
よく入るよな。」
「正宗さんは腹筋があるからあんまり膨れませんよね。」
「筋肉付きやすのは体質な。
言う程運動なんてしてねぇよ。
本読んでる方が好きだし。」
腹を擦ると顔を赤らめる三条が何を考えているのかは手にとるように理解出来たが、なにせ腹をパンパンにしたので数時間はセックス出来ない。
口でしてやるのも良いなと考えていると、目の前にスプーンが差し出された
「正宗さんも、餌付け、です。」
やましい事は一旦置いておいて、今はこの可愛い恋人との飯に集中しよう。
ぱくっとスプーンに口を付けると三条はふわふわ笑った。
「うめぇな。」
「はい。
すっごい美味しいです。」
そう。
想像の三条より、目の前の三条の方が大切だ。
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