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第950話
読書の秋…なんて関係なく年中本の虫なっている2人は各々の場所で齧り付いていた。
「なー、何読んでんだ」
「やまなしです。」
蟹の親子が谷川の底でなしが沈んできて酒が出来るのを待つ話。
ぷかぷか
ぷかぷか
「懐かしいな。
本棚にあったか?」
「ありました。
俺も懐かしいなって思って。
今読んでも面白いですよ。」
だらけていた姿勢から起き上がると三条の隣に座り、その手の中を覗く。
ぷかぷか笑う蟹の親子。
「このお酒美味しそうですよね。」
「あぁ。
小学校の教科書に載ってたやつ読んで、小学生ながらに美味そうって思ったな。」
一体どんな味がするんだろう
甘い?
酸っぱい?
知りたくてたまらなかったのは、随分と昔の事の様だ。
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