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第951話

球技大会1日目 第1試合からA組の出番。 頭が起きてるのか心配になる生徒もちらほら見受けられ、心配と言えば心配だ。 転ばなきゃ良いが。 長岡はショートが終わると出席簿を自席に置き、そのままの足で体育館に向かった。 「あ、せんせー、勝ったら焼き肉奢って。」 「このクラス何人いると思ってるんですか。」 「えー。 人の金で焼き肉が食いたい。」 「先生も他人の奢りで焼き肉食べたいです。」 稲刈りも粗方終わり、等級がニュースに上がるそんな季節になった。 小雨のせいもあり寒さにセーターを引っ張り出したが、既に試合の始まった体育館は熱気のお陰かあたたかい。 長岡が体育館に姿を見せるとA組生徒は人懐っこく周りにやって来た。 そして集る。 「食べ放題で十分っすよ。 体育祭の打ち上げも先生いないしたまにはどうっすか。」 「一人暮らしってなんに金使ってんすか。」 「家賃と本。」 主な出費は、家賃と本、それから光熱費。 貯金も。 確かにハードカバーを月に何冊も買い、読む時間がなく積んでいる。 少しずつ減らしてはいるが読める分だけ買う方が良いのだろうか。 だが、買わなければ出版社は刷る部数を少なくするかもしれない。 作者も初版で幾ら刷った、重版がかかったとやる気になってより良い次回作が期待出来るかもしれなと思うと買ってしまう。 「顔の割りに地味な生活してんすね。 彼女とデートに使ってる位言って欲しい。」 「先生に何を考えて求めてるんですか。 ほら、応援するぞ。」 「すぐその話題逸らす!」 当たり前だ。 プライベートと仕事はきっちり分けたいし、なにより恋人は生徒だ。 それもA組の。 にこにこと友人達と話に花を咲かすその恋人は此方に気付く事もなくいた。

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