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第953話
真っ直ぐな髪が揺れる。
ぽんっと上がったボールに、元バレー部員は声を出した。
「っし、任せろ!」
バシンッと決まるアタック。
此方は今年も安定している。
まず、身長的に有利だ。
そして、大人しそうな見た目以上に活発で恵まれた運動神経。
長岡は満足げにその試合を観戦している。
「三条、サンキュー。
やっぱ三条居ると楽だな。」
「役に立ててるなら良かった。」
「その身長の正しい使い方な。」
「笑わすのはやめろよ。」
ふにゃっと眉を下げるが、ボールが飛んでくると一変して真面目な顔になる。
正直、負ければ以降自由時間だ。
教室で何をしてても構わないし、抜け出さなければ多少の事には目を瞑っている。
だけど、決して手を抜かない。
遊びも真剣にする姿はA組らしい。
「三条くん、頑張れー」
「渡部いけーっ!
元バレー部の意地見せろ!」
アンダーで上げた球がライトと重なり眩しさに目を細めた。
眩しいのは生徒達もだ。
キラキラした青春を謳歌する生徒達はそれ以上に輝いていて眩しい。
羨ましいとさえ思う。
その後もA組が優勢で進む試合に担任は嬉しそうな顔を見せた。
それを気付けるのは恋人ただ1人なのだが、生憎その恋人はコートの中でそれに気付いていない。
ピーッ
「25対12で、3年A組の勝ちです。」
汗で前髪を額に張り付けながら嬉しそうな顔を見せていた。
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