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第954話

「午前の試合はこれで終わりです。 今からお昼休憩です。」 「やったー、昼だー」 「飲み物買いに行こう。」 生徒会役員のお昼の声にぞろぞろと移動が始まる。 元々教室に残っている生徒も居るので全校集会程混雑もなく、最後尾に着いても差ほどかからず脱出出来た。 じゃれあったり会話に花を咲かせたりと楽しそうな声を背中に聞きながら4棟を目指す長岡の足取りは軽い。 中庭はすっかり秋色に染まり、中庭の向こう側でも生徒の移動が見える。 バスケも試合が終わったらしい。 賑やかになる校舎からどんどん離れ目的地を目指す。 3棟と4棟を繋ぐ外廊下に出ると、細く長身の生徒がジャージの胸元をパタパタと扇ぎ空気を入れ替えていた。 風を通して涼んでいる。 あれだけ動いたのだから暑いのだろう。 それだけではあまり涼しくないのかチャックに細い指がかかった。 ジャージのチャックを下ろしている生徒は此方に気が付く。 その瞬間、ぱぁぁっとなんとも可愛い顔に変わった。 何度見ても犬みてぇ 可愛いな ぶんぶんと尻尾が揺れ今にも足元にやって来そうなその生徒を追い抜いた。 僅かに上がる口角を隠す事なく外廊下から4棟に侵入すると、少し遅れて続く足音が嬉しい。

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