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第956話

「はい、次、吉田くん。」 体育館に居ない生徒は各教室で好きに時間を使っている。 各々勉強をしたりゲームをしたり、本を読んだり。 一応見回りの先生は来るが、校外へ出なければ何も言わない。 自由に出来て生徒はのびのびと羽を伸ばしていた。 「うわ、ババ来たんだけど…」 「吉田なんで言ってんだよ。」 「駆け引きだよ。 このカードの中にはババがあんだぞ。 ほら、田上が引く番だろ。」 「引きにくい言い方すんなや…。」 昼食を食べ終え、何時ものメンバーでババ抜きをしている三条は今日もにこにこして友人のやり取りを見ている。 知佳ちゃんも未知子ちゃんもくすくすと笑い合う。 友人達と過ごす楽しい時間は良い息抜きになる。 「吉田、ババどれ?」 「これ。」 「真面目に?」 「おう。」 吉田が指差すカードが本当にババなのかは解らない。 だが、駆け引きをし合うのも面白い。 「んじゃ、吉田信じてこれだっ!」 「あっはっはっはっ!」 「マジでババだ…」 楽しそうな吉田の声が三条の笑顔を更に深くした。 ババ抜きでさえこんなに楽しくなるなて友人の力は偉大だ。

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