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第960話

美味しそうな湯気をたてる鍋の中は野菜にきのこ、豆腐に肉とぎっしり詰まっている。 「肉団子入ってます! 正宗さんの作る肉団子すごい美味しくて大好きですっ。」 「遥登めっちゃ食うよな。 沢山作ったから沢山食べてな。」 「はいっ。 いただきます!」 目をキラキラさせ嬉しそうに取り皿を受け取る三条が可愛くてたまらない。 取り分けたそれもすぐには食べられない三条。 食べられたとしても長岡が口にするまで待っているのを知っているから長岡は一足先に口を付けた。 視線を感じる。 その視線が逸れるとしあわせそうな声が聴こえた。 「んーっ、んまっ」 「良かった。 なんせ優勝だもんな。 俺も嬉しい。」 「小出達のお陰ですね。」 「遥登も大変よく頑張りました。」 ふにゃっと笑う恋人に触れるとわしゃわしゃと髪を掻き乱した。 皿の中身を溢さない様にしっかりと持ちながらも三条はされるがままになり、嬉しそうな顔を惜しみ無く見せてくれる。 無邪気な姿も、真摯な姿も、たくさん見てきたが見飽きる事はない。 むしろもっと色んな表情が見たいとさえ思う。 もうぞっこんだ。

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