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第961話

三条はふーふーと肉団子を冷ますと口に運んだ。 頬袋を膨らませ食べる姿は子供のよう。 飾らず等身大の姿で、学校で見る大人びた印象はない。 そっと頬に触れると、くりくりした目が此方を向いた。 「やっぱ飯は後にしてセックスしよう。 遥登の食ってる姿たまんねぇ。」 「え…?」 「食べた後じゃ暫く出来ねぇだろ。 風呂でしようか。 “全部”俺がするから、奉仕させて。」 「え、待ってください。 冗談ですよね…。」 にやにやと口角の上がっている恋人に、三条の喉がひくりっと鳴った。 風呂で長岡が“全部”奉仕する、なんてナニをするか想像するだけで顔が熱くなる。 「はーるちゃん」 取り皿と箸を取り上げるとじりじりと迫ってくる綺麗な顔。 「食欲が満たされると性欲も満たされちまうだろ。 全部、俺が満たしてぇ。」 自分の好きな低くて甘い声で囁かれ頭が溶けてしまいそうだ。 学校じゃ絶対に聴けない甘い声。 自分にとって絶対の響き。 「満たさせて?」 「…あ、…っと、その……」 駄目押しとばかりにちゅぅっと頬に吸い付かれれば、三条もたまらない。 「……お願い、します」 「ははっ、任された。」 すっかり冷めてしまった鍋を温め直して食べたのは三条の帰宅時間ギリギリで、2人でそれにも笑った。

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