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第981話

担任は教室の隅にパイプ椅子を置き教室内を眺めていた。 長身で整った顔はそんな姿でさえ様になっている。 格好良い 俺の恋人 視界に入る様にしながら、三条はクラスの会話に混ざる。 「吉田、三条が折れそうだぞ。」 「田上、お前もしてんだろ。」 「俺挟んで喋んなよ。」 「元はと言えば三条が…」 担任の胸元で蛍光灯の光を反射するピンがキラキラ光って、それも嬉しくて。 友人と笑いながら、担任の姿が見れるのが嬉しくてもっと笑う。 薄暗い外とは違い教室内はこんなにもあたたかく明るい。 それは担任によく似合っている。 きっと、担任が長岡だからだ。 だから、このクラスは明るい。 だって 長岡正宗という人は俺の道標だから 暗闇でも進むべき道を教えてくれる存在は明るいに決まっている。 「田上、吉田、そろそろ本当に三条が心配だからやめてやってくれ。」 「俺、そんなに柔じゃないですよ。」 担任の声に三条はふわふわ笑う。

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