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第983話

「大丈夫なのかよ。」 「え? なにがですか?」 本から顔を上げた三条はきょとんと私服の長岡を見る。 集中していて話が耳に入ってこなかったらしい。 「文化祭まで任されて、大丈夫かって。」 「うーん、でも、楽しいですし。」 「無理だけはすんな。 今、体調崩れたら泣いても泣ききれねぇぞ。」 困った様に眉を下げて笑う三条に長岡は息を吐くと、心配してんだと付け加えた。 「気を付けます。 だけど、田上達も一緒ですし…最後、ですから、」 小さく溢れた“最後”の言葉。 文化祭が終われば2週間後には推薦がある。 もう、楽しい時間は短い。 それを理解している、経験してきた長岡はそれ以上の言葉を言う事は出来ない。 「なんかあったらすぐに頼れ。 教師の方でも、な。」 「はい。 ありがとうございます。」 穏やかに笑う長岡はぽん、と三条の頭を撫でた。

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