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第984話

「はるちゃん、抱っこしてやろうか。」 「抱っこって…、俺いくつだと思ってるんですか。」 ふはっと吹き出した三条に向かって手を広げる。 三条は何時もの笑顔に戻った。 あぁ、やっぱりこの笑顔が1等好きだ。 「失礼します。」 「ん。 あったけぇ。 流石子供体温。」 腕の中にあたたかな体温がやってきた。 顔にかかる髪を耳にかけながら撫でくり回す。 肉付きは悪いがこうして撫でると可愛い表情を見せてくれるから好きだ。 髪に鼻先を埋めて満喫する。 「正宗さんは子供みたいです。」 「じゃあ、はるちゃんから大人な事教えて貰わねぇと。 教えてくれよ、はーるちゃん。」 「…俺は未成年です」 「へぇ。 残念。」 暫く大人しく長岡のされるがままだった三条が服を引いた。 どうかしたのかと顔を上げると綺麗な目が真っ直ぐに自分を捉える。 この綺麗な目に映るとまるで自分の穢れが消化されていく様だ。 それ程に真っ直ぐで綺麗な三条。 「あの、もし推薦が受かったら……お願いきいてもらえますか…?」 「珍しい。 構わないけど、なんか願い事あんのか。 今でも良いんだぞ。」 「受かったらで良いんです。」 「んじゃ、受かったらなんでも叶えてやるよ。 それと、ご褒美な。」 三条はしっかりと頷くと腕の中で背筋を伸ばした。 ちゅ、と唇に触れたやわらかなそれ。 「約束、です。」 「約束な。」 長岡からもキスをすると三条ははにかみながらもう1度約束と口にした。

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