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第985話
「んまっ。
たまごとろとろです。」
「そりゃ良かった。
ほら、あーん。」
夕餉の親子丼を美味しそうに頬張る三条に長岡も釣られて箸が進む。
人よりよく食べる男子高校生。
親子丼だけでは足りないだろうと豆腐サラダに冷蔵庫に残っていた半端野菜の味噌汁、亀田から貰った里芋を煮たりと机の上にはあたたかな食事が並ぶ。
三条と食事をする様になってから、細いがしっかりと筋肉の着いた体型は維持されているが長岡の色艶も良くなった。
亀田にも顔色が良いと言われる程に。
「ほんっと、たまご料理好きだよな。」
「そうですか?
意識した事はないですけど。」
むぐむぐと頬袋を膨らませながら食べる恋人は半熟の目玉焼きや温泉たまごが好きだ。
カレーでも焼きそばでも目玉焼きをのせると目を輝かせて喜ぶ。
「カレーだろ、焼きそばだろ、ナポリタンにも目玉焼きのっけるとすげぇ喜ぶ。」
「正宗さんの作ってくれるご飯が美味しいからですよ。
それに、一緒に食べるとなんでも美味しいです。」
…忘れてた
遥登はそういう子だった
「んじゃ、もっと沢山食ってくれ。
ほら、あーん。」
「正宗さんの分なくなりますよ?」
「そしたら遥登から分けて貰う。
ほら、肉食え。
豆腐も、野菜も。」
「そんな口に入りませんよ…。」
俺だって遥登も飯が食えればなんでもご馳走になる
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