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第993話
一通り校内を練り歩き、交代時間までの自由時間で他クラスのカレーや委託販売の甘味に舌鼓を打ちご機嫌の三条。
タピオカ入りドリンクを飲みながら田上は調理屋台の運営スペースになっている第2体育館をぐるりと見渡す。
「そういえば、知佳ちゃんは?
宣伝の時から見てねぇな。」
「部活の手伝いに行ってる。
和菓子を皿に乗せる係だって。
部員少ないから。」
「あぁ、茶道部だっけ?
って、吉田なんで知ってんだよ。」
「聞いたんだよ。
ストーカーとかではねぇから、勘違いすんなよ。
引退したのに手伝ってんだって。
良い子過ぎるし可愛い…。」
相変わらず想い人の話になるとだらけた顔をする吉田。
これでこそ吉田なのだが、これさえなければもう少し良い関係になれるのではないかとも思う。
「三条、一口飲むか?」
「やった!
田上、ありがとう。」
すずっとタピオカを吸い上げもちもちと噛む。
「なぁ、聞いてんの?」
「聞いてる聞いてる。
知佳ちゃん可愛いなぁ。」
「うん、可愛い。」
「……2人に可愛いって言われるの少し複雑なんだけど…」
「めんどくせぇな!?
めんどくせぇ彼女か!」
「不細工って言われてもむかつくけど、可愛いも複数なんだよ。
難しい年頃なんだよ。」
友人達の楽しそうなやり取りに更にご機嫌の三条は終始にこにこと2人を見守っていた。
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