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第994話
これから第一体育館でステージがはじまるまでが三条達のシフトになる。
ステージイベントがはじまればお客は殆んど来ない。
売るなら今の内。
お昼頃と言う事もあり、有り難い事に客入りは上々だ。
「三条、紅生姜頂戴。」
「ん、待って。」
「三条くん、弟くんとお友達来たよ。」
未知子ちゃんの声にクーラーボックスを覗いていた三条は顔を覗かせる。
その瞬間、嬉しそうな弟と目が合った。
「兄ちゃんっ!」
「優登、一樹もいらっしゃい。」
「遥兄こんにちは!」
兄に似て犬の様な弟も大好きな兄の姿にぶんぶんと尻尾が揺れる。
去年も会った女子達がわらわらと集まり出した。
可愛い可愛いと甘やかし年頃の弟達は去年よりはにかんでいる。
弟達も成長したらしい。
兄として、嬉しい様な少し寂しい様な複雑な心境だ。
「三条くん折角来てくれたんだから相手してあげなよ。
宣伝もしてくれたし良いよ。」
「ありがとう。
優登、一樹、はしまき食べる?」
「食べる!
チーズと目玉焼きの!」
「俺も!」
「田上、焼いて?」
委員長の有り難い申し出を三条は素直に甘える事にした。
隣にいた田上の肩をポンッと叩くと人の良さそうな笑顔を向ける。
人畜無害そうな笑顔でお願いされては田上も嫌とは言えない。
「かっちゃん…」
「わかったよ。
なんだこの兄弟。」
いやったー!っと喜ぶ三条と優登と一樹にチーズと目玉焼きのトッピングされたはしまきを焼きはじめた。
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