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第998話

「此処で食っても大丈夫っすか。」 「他に生徒も居ないし特別な。 この机の上だけだぞ。 バレると先生が怒られるから静かにな。 三条、プリントこっちに置いとくから。 じゃあ、先生は仕事片付けてくるからゆっくり。」 「長岡も食おう。 長岡の分も買ってきたんだけど。」 「まさか集れないだろ。」 「んじゃ、飲み物奢ってください。 秘密の賄賂って事で。」 折角の行為を無下にするのも失礼だが、奢ってもらうのもな。 長岡は少し考えると分かったとそれを快諾する。 「飲み物、何が良いですか。」 「コーラ!」 「ペプシ!」 「はいはい。 三条は?」 「え、俺は大丈夫です。」 すっかり何時もの三条に戻ってしまった。 友人2人は遠慮なしに答えているのに。 「田上吉田に買って三条にはなしなんておかしいだろ。 何が好きですか?」 なんて、本当は三条が好きな飲み物位知っている。 だが、知らないふりをしなくてはならない。 なら、少し位構っても許されるだろう。 「牛乳か?コーヒーか?」 「お、お茶でお願いします…。 お茶ならなんでも。」 「わかった。」 3人の楽しそうな声を背に玄関前の自販機へと歩く。 飲み物を両手に帰ってくると賑やかになった指導室でたい焼きをご馳走になり、2人を見送った。 三条の指導は辺りが真っ暗くなるまで終わらなかった。

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