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第1000話
学生街に建つエレベーターのないマンションの最上階。
その一番端の部屋が長岡の暮らす部屋。
今日は日曜日。
だが、部屋に遥登の姿はない。
ベランダ用の突っ掛けに足を入れ、遠くに見える大きな建物を眺める。
今、まさに、あの建物の中で恋人は頑張っている。
今までしてきた事をやりきれば三条なら大丈夫。
そう解っていてもなんだが落ち着かない。
時間の経過がやけにゆっくりで、スマホの時計をチラチラと見ては消すを繰り返していた。
自分の教採の時よりずっと緊張していた。
秋の風が長岡の前髪を悪戯に乱し、笑って通り過ぎていく。
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