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第1001話

ピンポーン 昼とも夕方ともつかない時刻、自室のインターホンがなった。 来るなんて連絡があった訳ではない。 宅配かもしれない。 でも、足が玄関に向かっていた。 裸足のまま玄関に下りドアノブを押すと、おわっと聞き慣れた声がする。 「遥登…」 「こんにちは。 来ちゃいました…」 制服をきちんと着込んだ三条がいた。 照れた様に笑い、足元を見てしまった三条の腕を引いて玄関に招き入れる。 どうせ連絡なしに来た事を気にしているだろう。 そんな事どうでも良いのに。 「お疲れ」 教師なんて何もしてやれねぇ なんも出来ねぇ 遥登が一所懸命目標に向かっている時、自分は何も出来ないのがもどかしかった 何時もみたいに笑う三条が恋しくてたまらなくて、きつく、きつく、抱き締める。 「出し切ってきました。」 「ん、頑張りました。」 髪を撫で回し恋人のにおいを肺一杯に取り込む。 遥登のにおいが恋しくてたまらなかった事を見透かしたのか。 まるであやす様に背中を擦ってくれる年下の恋人に甘え頬擦りすると、冷えた身体にやっと気が付いた。 「少し寄っていけよ。 コーヒー飲むか。」 「はい。 いただきます。」

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