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第1004話

「あつくなっただろ。 顔真っ赤。」 「狡いです。 狡い、狡い。」 くすくす笑う長岡の肩に額を押し付けながら三条は狡い狡いと小さな攻撃をした。 だが、長岡にしてみればそんなもの攻撃の内に入らない。 もうあやすのもお手の物だ。 ぽんぽんと背中を優しく叩きながらあやしていく。 「遥登」 「…」 「はーるちゃん、機嫌直せよ。」 「もう1回、キスしてくれたら…許します」 「ははっ、ありがとう。」 じゃあ、こっち向いて、と顔を上げさせ向かい合う。 真っ赤になった顔の中でも特に頬と額がより赤い。 擦り過ぎだ。 「遥登。 目、閉じて。」 緊張感丸出しでぎゅっと目を瞑る三条の唇に自分のそれを押し当てる。 やわらかくてあったかいその感覚を堪能すると、ゆっくりと口を離した。 そして、三条が目を開くタイミングを見計らって鼻にもキスをした。 「許してもらえますか?」 「……はい」 「飯は? 一緒に食べてくれますか?」 「母さんに連絡します。」 「一緒に食べような。」 色も温度もにおいも鮮やかになった部屋はとても明るく居心地が良い。

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