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第1006話
「じゃあ、確認兼ねて小テストします。
教科書ノート、その他仕舞ってください。
配りますよ。」
「え、なんで!?
なんでテストするんすか!」
「今、確認兼ねてって言いましたよ。
そんな難しくないから大丈夫です。」
配りますよと、ノートを必死に目に焼き付けている生徒を急かす担任を三条は目に焼き付ける。
放課後の小論指導も終わってしまい、接触は少なくなってしまった。
少なくと言うより元に戻った、の方が正確だが寂しいは寂しい。
回ってきたプリントだって何時作ったのか、容易に想像出来る。
自分の我が儘を通すより、恋人の健康の方が大切だ。
せめて睡眠と食事はしっかりして欲しい。
「後までいきました?
大丈夫ですね。
じゃあ、終鈴が鳴るまでで。
はじめてください。」
すべての問題にさっと目を通す。
活用法はしつこい位繰り返す、と言っていた通り毎回問題にしている。
他にも授業中何度も繰り返し説明していたポイントや、間違えやすいと言っていた箇所が問題になっている。
小テストと言っても丁寧に丁寧に作られていた。
おかしな事を思っている自覚はあるが、このテストさえも愛おしい。
三条はシャーペンを握り直すと問題と向き合った。
旁線部「いのりせよ」の意味は…
この語句が使われているのは、岩山寺に参拝した時出会った僧侶に自分の後世の事を頼んでいる場面だ。
だから…
三条は頭を切り替えるとすらすらと問題を解いていく。
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