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第1010話
待ちに待った外泊日。
踊りながら道路に色を挿す落ち葉をサクサクと踏み締めながら長岡の部屋へと向かう。
空を見上げるとめかし込んだ葉が薄曇りの空を飾っていた。
色の薄れていく街でその化粧がより栄える。
ましてこれから恋人の部屋で泊まりとなれば、その色は更に鮮やかだ。
単純で良かったとこれ以上思った事がない。
マフラーに顔を埋め歩みを進めていく。
風は冷たいがそんな事はどうでも良い。
空が鈍い色なのも、もうすぐ雨が降りそうなのも。
恋人に会えれば些細な事だ。
早く会いたいと、歩みは次第に速くなっていく。
お土産の詰まったコンビニ袋を揺らし階段を駆け上がり、呼び鈴を押した。
もうすぐ扉が開く。
もうすぐ恋人に会える。
ガチャ…
「おはようございます。」
「ん、おはよう。」
とびっきりの笑顔に心も踊る。
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