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第1011話

手洗いうがいをしていると背中にあたたかな重みを感じた。 「あの、なにしてるんですか…?」 「遥登補充してる。 俺の事は気にしないでくれ。 空気とでも思えば良い。」 空気って… それはちょっと無理なんじゃ… 空気は無理だが抱きつかれている背中はあったかいし、いいにおいもするし、正直嬉しい。 少し恥ずかしいけど大人しく腕の中に収まる事にしようと、構わないフリをしながら手洗いをする。 腹を抱く長岡の手に力が入った。 特に推薦が決まってからは激しいセックスもなく、身体を気にかけていてくれた事は三条自身解っている。 放課後は放課後で指導、それも過去問や例文を幾つも見付けて持ってきてくれていた。 だからこそ自分から触れたいなんて我が儘が言えず、長岡からの接触がとても嬉しい。 へへっ あったかい …ん? 不意に脇の下から前に回ってきた手が腹を撫でた。 「遥登、やっぱ空気はなし。」 「はい?」 「キスしよう。」 「え、待ってくださ…」 腹を撫でていた手がするすると上がり顎を掴む。 自分に重なる影に慌てて腕を掴もうとするが泡が着いたままでは触れない。 それだけでなく、脇の下に腕を入れられているせいで振り向くことすら儘ならない。 「んんっ、まっ…、…」 両手が使えないのを良い事に上顎を何度も舐め上げるてくる。 首を後に捻っている事もあり唇が離れても呼吸がしにくい。 そんな事お構い無しに口内を嬲る長岡はご機嫌そうだ。

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