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第1026話
寝惚け眼の前に朝食をのせた皿を置くとぱぁぁっと目を輝かせた。
ぶんぶんと尻尾を振り回し、キラキラした目で此方を見てくる。
「ははっ、良い反応。
冷ましてから食えよ。」
髪を掻き乱し隣に座るとこれでもかと嬉しそうな顔を見せてくれた。
なんて変哲もないピザトーストに階下の夫婦からお裾分けで貰った柿を剥いただけだ。
それなのにこんなに喜んでもらえるとはなんだか得した気分になる。
「いただきます。」
「いただきます。」
手を合わせる三条に習い長岡も手を合わせ挨拶を済ますと焼きたてのそれにかじりついた。
サクッとした歯触りのトースト。
伸びるチーズ。
トマトソースのほのかな酸味。
具材はなんの変鉄もない玉ねぎとピーマン、ハムだが遥登と食べればご馳走だ。
上顎をべろべろにしない様しっかりと冷ましてから三条もサクッと音を立てて張る。
千切れたチーズを指で掬い、口端に付いたトマトソースと一緒に舐めとる姿がなんだか色っぽい。
どちらも“欲”だからだろうか。
「遥登、まだ付いてる。
ここ。」
「正宗さんだって、服にトーストのカスが溢れてます。」
「おいおい俺をいくつだと思ってんだ…マジだ。」
軽く払うとふふっと頬を膨らませながら笑う三条。
食ったものがまったく身に付かずいまだカリガリだが、それ含めてこの恋人が好きだ。
勿論、太っても。
三条の口端に付いたケチャップを拭い唇に塗り付け、その赤をぺろっと舐めとる。
「…っ」
「はるちゃんも、まだまだ子供だな。
顔真っ赤。」
「食べ物で遊ぶと怒られますよ…」
「遥登に怒られんのか。
興奮するかも。」
半分本気で言ったのに、三条の反応が面白くて言った本人がくすくすと笑い出す。
「また俺の事からかって…。」
「怒るか?
そしたら、また勃つかもな。」
「体力どうなってるんですか…」
「恋人が可愛いから勃つんだよ。」
高校生より体力の回復が早い長岡に三条は眉を下げたが、隣にやってきた恋人にすぐに破顔した。
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