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第1028話
「沢山寝てしまってすみませんでした…。」
「気にすんなよ。
俺も寝れたしな。
それに、元はと言えば俺ががっついて朝まで寝かせなかったのが原因だろ。」
「え、っと…、それは…」
昼寝から目覚めた三条は起きてからずっとこの調子だ。
折角の外泊まりだと言うのに寝てばかりであまり一緒に居られてないと三条は言うが、くっついて寝るのも寝顔を眺めているのも長岡は好きだった。
またフォルダに寝顔が貯まったのは秘密。
レトルトのミートソールをあたためる長岡はレタスを毟る三条に何度も気にするなと言ったが、でも…と口籠るばかりだ。
「なぁ、名前呼んでくれよ。」
「名前ですか?
正宗さん?」
「そう。
正宗。
遥登、寝言で先生って言ってた。」
「嘘っ」
「本当。」
本当かと何度も確認してくる三条の腰を抱き寄せた。
肩をぶつけると視線が絡む。
その視線の高さに、もう背伸びはしてもらえなくなってしまったのだとほんの少し寂しくなった。
嬉しい筈の成長なのにな。
「先生より名前の方が嬉しい。」
「気を付けます…」
「いや、寝言だしな。」
目の前で揺れる髪に触れた。
その髪から覗く赤い耳に気を良くした長岡は顔を綻ばせる。
「うし、麺茹でるか。
それから風呂入って、またセックスか?」
「か、からかわないでくださいっ。」
「からかってねぇよ。
我慢してた分沢山してぇの。
それに、昼寝したから寝れねぇかもだろ。
沢山運動して疲れたらまたぐっすりだぞ。」
久し振りの恋人との甘い時間を楽しむ長岡はずっと笑っていた。
三条も。
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