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第1036話
三条を送り届けるならもう今日の仕事は止めだ。
明日の自分に任せる。
「お先に失礼します。」
「お疲れ様でした。
三条くんもさようなら。」
「さようなら。」
電車の乗り継ぎの不便さと時間を考えて三条を送り届けたらどうかと言われた時はドキッとした。
たけど、堂々と三条と帰宅出来る事はとても嬉しい。
手ぶらの三条は1歩後ろを着いてくる。
「三条、先生の車裏の駐車場だから靴履き替えておいで。
先生も上着と靴持ってくるから。」
「はい。
分かりました。」
それにしても寒くねぇのか
まぁ、あんまコート着てる生徒いねぇよな
俺の時もそんないなかったか
自分が高校生の時もあまりコートを着てる生徒はいなかった。
それこそ雪が降ってもだ。
Yシャツの下に温感シャツを着たりタイツを履いたりなにかしら寒さ対策はしていたが何故か着なかった。
確かに自分も着なかった。
だけど今はコートが手放せない。
寒そうな背中を見送り、ロッカーからコートを取り出すと腕に引っ掛け職員用下駄箱へと分かれた。
「お待たせしました。」
そこへ丁度良くやって来た三条は、何時もより社会人ぽさのある恋人にじっと動きを止める。
まるで観察するようなその姿に内履きのスニーカーから革靴へと履き替え、背中にそっと触れた。
「じゃ、帰ろうか。」
「はい。」
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