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第1040話
「お、来た。
吉田、おはよう。」
「おはよう。」
「はよー。
さみいな。」
珍しく吉田が朝早く起きたと駅前のコンビニで落ち合った。
寒さにふとんにくるまっていたかったが、どうにも目が冴えてしまって二度寝が出来なかったらしい。
寒さに震える身体で学校迄の短い道程を歩く道中、三条は口を開いた。
「あのさ、俺、推薦合格した。」
2人はまだ受験が控えているのに自分だけ終わったなんて伝えても良いものか迷った。
だけど、応援してくれた友人にきちんと報告したかった。
話の途中にそう話すと2人は1歩後ろを歩く三条を振り返る。
「マジか!
おめっと!!」
「おめでとうっ!」
「おわっ」
両側から抱き付かれ、三条はよろけた。
自分達はこれから受験だと言うのに、まるで自分の事の様に喜んでくれる。
「ありがとう。」
「三条マジおめでとう。
すっげぇ嬉しい!」
「俺も嬉しい。
三条すげぇ!」
「うん。
ありがとう。」
やべぇだのすげぇだの激しい祝福に三条に何時もの笑顔が戻る。
穏やかなそれに友人達も笑い、寒さなんて気にならなくなっていた。
「じゃあ、三条から受験勉強みてもらえるな!
やった!」
「理数系はそっちの方が得意だろ。」
「いやいや、遠慮しないで教えてくれて構わないぜ。」
抱き合う3人は、同級生や下級生から変な視線を受けるがそんな事より三条の合格と、喜んでくれる友人の存在が嬉しくて気になんてならない。
冷たい風に吹かれながらわいわいと学校へと歩く3人組はとても楽しそうに騒いでいる。
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