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第1041話

さっむ… 三条は、ポケットにかじかむ手を入れながら4棟トイレを目指す。 初雪も降り本格的な冬が到来した。 学校の中なのに吐く息白いな あ、なんかあったかい飲み物買ってきたら良かった だけど、戻るには行き過ぎた。 自分以外誰も歩いていない3棟廊下を振り返り、飲み物は明日にしようと4棟を目指す。 雪の混ざる風が吹き付ける外廊下を足早に通り過ぎ、やっと目的の場所に到着した。 寒くて耳が痛い。 そして、トイレのドアを開けて三条はの動きが止まった。 「あ…」 「こんにちは、三条くん。」 「こんにちは…」 目の前で担任が用をたしてした。 そっとドアを閉めて窓の外を眺める。 が、内心は心臓がバクバクと騒いでいた。 ちらっと見えた陰茎に三条の羞恥心が頬を染める。 見えた、気がする 「悪りぃ、三条もトイレか? 手ぇ洗ってるから使いな。」 「あ、俺は大丈夫です…」 トイレから顔を出した長岡は律儀に声をかけてくれたが、目的はトイレで用をたす事ではない。 そもそも最近は無毛のソコを見られたくなくて個室を利用している。 長岡が開けてくれた扉の隙間から中へと侵入した。 水が冷たいと言ちながら、手洗いをする長岡の背中をじっと見詰める。 大きな背中を丸めて水道に向かう長岡は今は担任だ。 そう、担任の先生。 ゆっくりと深呼吸をして心を落ち着ける。

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