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第1043話

メモ画面の隅に表示される時刻は昼休み開始から10分過ぎた事を知らせている。 休み時間の中では長い昼休みだがあまり長くこうしていては三条の身体が冷えてしまうし怪しまれる可能性もある。 まして、食べるのが遅い三条だ、そろそろ教室に戻らなくては。 『そろそろ戻るか』 骨に皮が張り付いた様な冷えた手を握ると三条渋い顔で頷いた。 『昼飯まだだろ 早く食わねぇと食いきれないだろ』 それにも頷く。 良い子良い子と甘やかすと遥登の方からも手を握ってきた。 こういう小さな事にもグッとくる。 まだ一緒に居たいが我慢してくれてるのか。 そんな風に自惚れても良いのか。 左手でスマホ画面に触れて、俯く三条の視界にいれる。 三条は、ばっと顔をあげた。 その顔は恥じらいつつもどこか嬉しそう。 『午後から頑張れる様にキスして』 頬にあたたかいものが触れた。

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