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第1044話
「お、三条おかえり。
先食ってた」
「ただいま。
俺も食おう。
いただきます。」
4棟トイレから帰ってくると友人が出迎えてくれた。
と、言うか弁当待ちが半分だ。
取り出した弁当箱を開け、今日も美味しそうな弁当に舌鼓を打つ。
白身魚のフライを食べていると田上は何時もの様に笑顔を向ける。
「三条くん、一口っ!」
「良いよ。
はい。」
「あざまーす!」
指差すスープジャーの中は熱々の豚汁。
根菜に葉物にこんにゃく、椎茸、肉と具沢山。
「コンポタより肉だ。
肉最高!」
「肉だけ食うなよ。
おい!」
「田上、俺も」
田上から吉田へと移動するスープジャーの中身が心配だ。
半分以上が田上の胃の中に収められたコンポタージュは随分と温くなってしまっていた。
雪は積もらずとも流石に12月になったと実感するには十分な気温だ。
「吉田っ、椎茸も食え!
肉だけ拾うなって!」
「いや、椎茸はさ…」
「吉田またやってる。
三条お世話おつかれー。」
和気藹々なこの空気もあと僅か。
名残惜しむ様にみんな笑った。
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