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第1055話

ぽけっと昔の事を思い出していると、その視線に気が付いた友人が此方を向いた。 欠伸を見られていたと思ったのか苦く笑うから、俺も笑い返す。 教科書に隠れて手を振るとシャーペンで前を指しはじめた。 示す方を見ると教科書を持った担任と目が合う。 や、べぇ… 担任は怒りこそしないが、そういうところはしっかりしている。 この担任とは1年の頃から顔を会わせているが何時見ても綺麗な顔だと思う。 男の俺から見ても綺麗だと思うんだから羨ましい位だ。 ピシッと着こなしたスーツもセットされた髪も嫌味な位似合っているし、頭も良い。 それから、多分リア充。 そりゃ、この顔なら周りはほっとかないだろう。 だからリア充だと思う。 せめて性格が悪きゃ俺みたいな平々凡々なのにもチャンスが来るんだろうけど、学校で接してる分にはそんな感じはしない。 なら、ド変態であって欲しい。 すげぇドMとか。 ……ねぇか。 口角を上げる担任にノートに視線を移す。 次の解答、俺だ… しかも自信ねぇ問題… 三条…とそちらを見ると友人は複雑そうな顔を返してきた。 「じゃあ、次の問題は田上に飛ぼうか。 田上から前に。 お願いします。」 でも、やっぱりこのクラスで良かったって思う。 俺はね。 あわよくば、三条、吉田もそうだと良いな。

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