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第1056話
授業も終わり休憩時間。
自動販売機で友人達に頼まれたあたたかいココアと冷たいいちご牛乳のボタンを押すと、三条は自分の分を選ぶ。
何時もは紙パックのコーヒー牛乳を選ぶのだけど、なんとなく甘ったるいコーヒーが飲みたくて缶コーヒーのボタンを押した。
ガコンと色んな所にぶつかり吐き出された缶を取り出し、ふと動きを止めた。
…?
なんか…、知ってる…?
コーヒーは知っている。
そうではない。
不思議な既視感。
コーヒー自体、特別変わったものではない。
どこの自販機でも売っている銘柄。
なんだろうとじっと缶を見詰めていると背後から声をかけられた。
「三条、なにしてんだ?」
「あ、先生。
こんにちは、あ」
その人に合点がいった。
缶コーヒーが“ナニ”に似てるのか理解すると顔に血液が上る。
アツくなる身体に、缶コーヒーを担任に押し付ける様に手渡した。
「あ、あの、よかったら飲んでください…っ。
失礼しますっ」
擦れ違い様長岡のにおいが濃くかおってぶわっと体温が上がる。
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