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第1061話
尻を撫で回す長岡の手を気にしない様に洗い物を進めていく。
ただでさえ洗剤で滑るのにそちらに意識をやると割ってしまいそうでこわい。
「もっと屈まなねぇとやりづらくねぇのか?」
「……大丈夫です」
わざとだ。
身長に似合わないシンクは低く、もっと屈まないとやりにくい。
それは事実だ。
だが、屈めば腰を突き出す格好になってしまう。
今、そんな姿をこの恋人に晒したらなにをされるか大体の想像はつく。
へぇ、と一際甘い声にぞくっと肌が粟立つ。
「反抗期のはるちゃんも可愛い。」
「反抗期じゃないです。
うあっ、正宗さんの手冷たい…っ」
背中に回り、服の裾から手を入れてきた長岡の手は何時も通り冷たい。
その冷たさに鳥肌がたつ。
「皿割っちゃうから、後で…、」
「そのまま皿洗い続けろって。
たまにはこういうのも良いだろ。」
「たまにって変なプレイ多い…っ」
「変ってなんだろ。
遥登もノリノリの癖に。」
がりっと耳縁を噛まれ、三条は皿洗い物をする手を止めた。
シンクに手を突き冷たい手が自分の体温に馴染みあたたかくなるのを待つ。
が、長岡がただあたたまる為だけに素肌に触れているのではない事位解る。
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