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第1064話

「正宗さん…」 「台所でセックスするのか?」 「ん…」 三条は長岡の首に細い腕を絡め顔を埋めた。 長岡のにおい。 あたたかくて、自分を抱き締め返してくれる腕が安心する。 「正宗さんで、いっぱいになりたいです…。」 額を擦り付けていると作業スペースへと上げられた。 触れていた身体が離れていき思わず後を追いかけてしまう。 そんな三条に長岡は微笑みかけ、優しく髪を梳く。 三条の好きな長岡の癖。 「なんも準備してねぇだろ。 後でな。」 「…そんな、沢山食べてませんし……、掃除は、してあります、」 「何時したんだ。 大丈夫なのか。」 期待してたみたいで、いや、期待してたのだけどとても恥ずかしい。 はしたない奴だと思われてしまったらどうしよう、と考えていると手を握られた。 冷たくて大きな手に自分の手を握られ、恋しさが込み上げる。 「いっぱいにしてやるから慌てんなって。 まずはキス。 ローションも持って来ねぇとな。」 「…はい。」 「んな顔すんなよ。 此処にもローション置いとくから次からは大丈夫。 少しだけ焦らされてな。」 そう言って長岡はローションを取りに寝室へと向かって行った。 1人残された三条は膝に顔を埋めて待っている。

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