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第1071話
2回目の風呂を済ますべく浴室へと向かうと、後ろを恋人が着いて来た。
脱げないと申し出ると素直に反対を向いてくれるし、悪戯もしてこない。
浴室の扉を押し開けてふわりと空気が色付いた。
「いいにおい…」
「今日冬至だからな。
丁度亀田先生から沢山柚子頂いたし入れてみた。」
先に湯船に浸かっていたのは黄色くて爽やかな芳香を放つ柚子。
ぷかぷかと気持ち良さそうだ。
「かぼちゃも食ったし、これで風邪ひかないな。」
「はい。」
「ほら、座れよ。
洗ってやる。」
1人で出来ると言いたいところだが、まだ腰が鈍く痛む。
変な体勢でいたせいか身体のあちこちが軋む様だ。
「お世話かけます…」
「ん、お世話します。
元はと言えば俺のせいだしな。」
袖を捲った長岡に、一緒に…と口ごもりながら言うと破顔した。
かぼちゃを食べて、柚子湯に入って、そうしてまた2人の時間を楽しんでゆっくりと贅沢な時間が過ぎていく。
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