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第1074話

机の上いっぱいの食事に、長岡もご機嫌だ。 オムライスにフライドチキン、サラダ、ケーキに、三条は満開の花を咲かす。 オムライスは長岡の好きなウインナーの入ったケチャップライスを薄焼きたまごで包んだもの。 こんな日まで自分を優先してくれる三条の隣に座り楽しく食事を進めている。 頬袋いっぱいに詰め込みしあわせそうな笑顔に心も腹も満たされていく。 「ほんっと、美味そうな顔して食うよな。」 「正宗さんと一緒だと美味しいです。」 「手軽だな。」 「そんな事ないですよ。 贅沢です。」 当たり前になった事を当たり前としてとらえず、贅沢だ、特別だ、と言ってくれる三条に長岡の考え方も変わっていた。 柔軟により深く考える。 そして、遥登とその時間を大切に過ごす。 「そうだな。 贅沢だな。」 笑顔を返せばしっかりと頷いた。 オムライスをスプーンで掬うとその笑顔の前に差し出す。 「はるちゃん、あーん。」 「いただきます。」 ちらっと長岡を伺ってから口を開けた。 もぐもぐと頬を動かす三条の口端に付いたケチャップ。 ぺろっと舐めとる舌。 この子の成長には目を見張るものがある。 あんな幼かった顔は随分と大人びて色気迄出てきた。 「ケーキ入んのか?」 「ケーキは別腹です。」 にこにこ笑う顔は年相応だが、あの色気はたまらない。

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