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第1075話
「はい、遥登の分。
どうぞ。」
「ありがとうございます!」
ケーキののった皿を手渡され三条の目が輝く。
この顔見たさに長岡は三条を甘やかすが、甘やかしている時より長岡と一緒に過ごしている時の顔が何時もよりずっとしあわせそうな事には気付いていない。
恋人しか見る事の出来ない顔だというのに。
そんな顔でふにゃふにゃ笑う三条の視線がふと下がった。
「正宗さん、その下着可愛いですね。」
「あ、あぁ。
可愛いだろ。」
スウェットをずり下げ見せてくれたそれは長岡には珍しい真っ赤な苺柄のパンツ。
鼠径靭帯とのギャップが激しいが、何時も単色のそれとは違いポップで若々しい。
「ゴムん所が柄になってるのもあるぞ。」
「それも可愛いです。」
「だろ。」
右口角を上げた長岡は手に取ったフォークを置き、寝室へ行った。
背中を眺めているとクローゼットから何か手に戻ってくる。
目が合うとにこっと微笑み、ぽんと頭に長岡の手がのった。
「はい、クリスマスプレゼント。」
「え…」
「遥登、良い子だからサンタからプレゼント。
開けてみ。」
「でも…俺、すみません、なにも用意してなくて…。
自分だけ貰うなんて…」
「欲しいもんあんだけど、我が儘言って良いか?」
申し訳なさそうに眉を下げる三条にプレゼントを握らせて席に付く。
こくこくと何度も頭を首肯する三条に長岡は微笑みかけた。
「遥登の時間くれよ。
何時でも良いから、また一緒に飯食おう。」
「そんな…、良いんですか。」
「遥登の時間が欲しい。
いくら金出しても買えねぇし、遥登からしかもらえねぇんだけど。」
「はいっ!
勿論です!」
「ありがとな。」
三条はそれは嬉しそうに頷く。
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