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第1094話
年が変わって数十分、あんなに騒がしかったテレビの向かうも落ち着いた頃、長岡は三条に声をかけた。
時計の長針はぐるっと1周する少し手前で横になっている。
「夜中だけど初詣行くか?」
「良いんですか…?」
「勿論。
俺と行ってくれますか。」
「はいっ。」
長岡のお誘いに三条は嬉しそうに頷いた。
暗ければ多少はこの身長でも目立たない。
それに、18歳以下でも神社へ参拝と言えば言い訳として通じる。
暗がりとはいえデート出来て嬉しいと満面の花が咲いていた。
かわい
こんな喜んでくれんのかよ
「それから、帰りは寄り道しような。」
「はいっ!」
去年もした、寄り道。
神社とコンビニだが、引き籠って本ばかり読んでいる2人には大切なデート。
行き先は何処でも良い。
大切なのは隣に誰がいるか。
貧相な身体をコートとマフラーで隠した三条と静かな野外へと出る。
神聖な雰囲気の増した元日の神社は、年越しから1時間を過ぎたせいか人も疎らで手水舎で手を清めまっすぐに本殿へと向かえた。
願いたい事は沢山ある。
だけど、まずはこれしかない。
A組の生徒全員が健康で進学就職合格出来ます様お願いします
自分の健康よりそちらの方が大切だ。
これからの人生の岐路に立つ生徒達。
生意気で五月蝿くて大切な生徒達。
どうか桜が咲きます様に。
それから、もうひとつ
きっと、こっちは今年もすぐに叶う
ずっと叶う
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