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第1097話
帰宅後、ふとんにくるまって年越し音楽番組を観る三条を抱き枕に長岡は読み途中の本を読む。
三条もまだ眠気は来ず定位置で観ていたのだが、寝室の扉を開けていれば隣の部屋のテレビも観れるしあったかいと誘われてベッドの上へと場所を変えた。
おおよそ、長岡が寒いのだろう。
触れる手は何時もより冷たい気がする。
「遥登あったけぇな。
ふとんの中だから余計にあったけぇ。」
「正宗さんの手冷たいですね。
寒いですか?」
読み途中のそこにスピンを挟むとぎゅぅぅっと抱き締められた。
手は冷たいが身体はあたたかい。
「悪りぃ、冷たいか?」
離れそうな手を握って引き留める。
確かに冷たいが、嫌じゃない。
長岡の手だと解るその温度が好きだ。
「んーん、好きです。」
「へぇ、好きか。」
好き、と握り締めると自分の胸に寄っ掛かる様に抱き締められた。
長岡のにおいに包まれるまであっという間だった。
「俺も、遥登の体温すげぇ好き。」
低くて甘い声にドキドキと心臓が五月蝿い。
抱き締める手に一層力が入ると、首筋に噛み付かれた。
痛い筈なのに。
「遥登」
気持ち良い。
「良い年越しだった。
泊まってくれてありがとな。」
今度は、首に触れ様と伸ばした手に唇が触れる。
「俺も、一緒に年越し出来て嬉しいです。」
振り返りそう伝えると、長岡は綺麗に笑ってきつく抱き締めてくれた。
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