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第1096話
メッセージアプリを利用して簡単に新年の挨拶を済ます。
みんな最後の追い上げ中。
あまり長く時間を使わなくて良い様に簡単に簡潔に。
そんな時でも、女の子達はマメだ。
新年に変わって差ほど時間を空けずに連絡が来ていた。
メールが主流だった時はメールが送れなかったりしたそうだが、今はそんな話は聞かない。
単に自分が聞かないだけなのか、それとも0時丁度の挨拶に拘る人が少なくなったのかは解らないが、長岡は体験しただろうそれを自分は体験した事がないのが少し悔しい。
9歳の年の差はとても大きい。
コンビニの外で待ってた三条は自動ドアの開閉音に顔を上げた。
ビニール袋を手にした長岡は口端を綺麗に吊り上げながら隣に歩いてくる。
袋が風に吹かれてカサカサと音をたて、薄く積もった雪を巻き上げた。
「待たせたな。
あんまんで良かったよな。」
「はい。
ありがとうございます。」
「でも、まずは肉まん半分こしようか。」
「はいっ。」
長岡は、鼻の頭を赤くした三条に半分に割った肉まんを手渡す。
悴んだ手には熱かったが、それより半分に分けて同じものを食べられる事に身体の奥のやわらかいところがあたたかくなる。
知らない事は教えてもらおう。
そうしたら沢山話せる。
悔しさより、沢山話して沢山笑って過ごした方がずっと良い。
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