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第1109話
自分に抱き付く恋人の背中を擦っていると、肩にのった頭がもぞっと動いた。
眠そうに目が溶けている。
「飲み物飲むか?」
「ください。」
三条がシャワーを浴びている間に用意したあたたかいお茶はすっかり冷めてしまったが、三条には丁度良いらしい。
ごくごくと喉を潤す三条は大分顔色が戻っていた。
ソファから1歩も動かなくて良い様に飲み物、読み物、みかん、ブランケットを用意し、自堕落に過ごす昼下がり。
そんな休日もあと2日で終わってしまうが、学校が再開されればまたこの生徒とまた毎日会える。
それはそれで嬉しい。
マグを置いた三条はまた暖をとる様にくっついてきた。
「正宗さんあったかいです。」
「遥登の方があったけぇよ。
寒かったら言えよ。」
「………ねむい、です」
「なら昼寝しようか。」
「寝てばっかりですよ。
折角の休みなのに…。」
眉を下げる三条の目蓋にちゅぅっと吸い付くと、目を開けた三条を綺麗な目で覗き込んでくる。
「だから贅沢なんだろ。
一緒に居んのになんもしねぇで寝んの。」
「一緒に寝てくれますか…?」
「当たり前だろ。
一緒に昼寝しような。」
隠しているのだろうが尻尾を振っているのが見える。
「ベッド行こうな。」
「…ん」
ぼふっとベッドに雪崩れ込むと、前髪を撫で上げあやしながら入眠させる準備を整える。
重そうな目蓋は閉じ呼吸もゆっくりと深くなった。
毛布を肩まで引き上げると三条は器用に埋る。
さっきまでのいやらしい姿がまるで嘘の様だ。
半分寝ているのだろうとわかる恋人を抱きまくらに長岡も目を閉じた。
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