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第1120話

放課後、みんなで集まって勉強をするのももう両の指の数を切った。 未知子ちゃんはペンからペットボトルに持ち替えると喉を潤す。 霙が降っていても空気は乾き、喉も渇く。 美味しそうに喉を潤すとふと、三条に声をかけた。 「三条くんの名前って可愛いよね。」 「可愛い、かな?」 「最近の子っぽいって言うの。 ユニセックスな名前流行ってるよね。 ハルくんとかヒナタちゃんとか。」 「あぁ。」 言われてみれば、“はる”と呼ばれれば男女どちらかかわらない。 漢字こそ違うが近年の名付けランキングにも入っている。 「確か、本当は旧字体なんだよな。」 「そうなの? 難しい方の遙?」 「うん。 条も旧字体だから印象変わるんだよね。」 「確かになんかイメージ違うかも。 かっちりするんだね。」 「未知子ちゃんも名前可愛いよ。 未知子ちゃんに似合ってるし。」 タラシの様な事をさらっと言う三条に吉田は知佳ちゃんに使おうと心の中で反復する。 「えー、しわしわネームだよ。 私は気に入ってるんだけどね。」 「しわしわネームって、長岡先生も?」 「正宗だっけ? あの顔で正宗ってのが良いんじゃない。」 「ギャップ! 良いよね。」 かっちりとした漢字に古風な響き。 だけど、本人は今風のお兄さん。 未知子ちゃんはそれが良いらしい。 でも、あの顔でレンとかだったらなんかホストっぽい… それに今更、正宗以外の名前もピンとこないしな 勉強をしていた筈なのに、長岡について話が変わりそうで三条はドキドキする。

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