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第1131話
ショートが終わると入れ違いに試験監督の女教師がやって来た。
寒そうに身を縮こめセーターの上にカーディガンを羽織っている。
「せんせー、おはよー。」
「おはよう。
今日も寒いね。」
それでも友人同士で固まり最後の足掻きをする。
三条もノートを見て足掻く。
教師は時計を見てそろそろ席に着くよう指示をするとテスト用紙を配った。
「長針が12にいったら始めます。
…はい、はじめ。」
バッと問題用紙を捲る音が教室内に広がった。
ミスがない様にスピーディーにかつ正確に答えを書き込んでいく。
三条は、見直しする時に分かるようマークを付けながら一通り解いていった。
最後の問題まで気は抜かない。
書き終えたら見直しをする為最初へ戻る。
ケアレスミスも見た感じない
多分、大丈夫
そっと腕時計の縁を撫でながら時間を確認するとまだ時間には少し余裕があった。
カチ、カチ、と時を刻む秒針、短針、長針。
それを彩る文字盤に縁。
手首に巻き付くベルト。
不思議とそれらを見ていると長岡の優しい気持ちが伝わってくる。
学校ではその素振りをみせる事は少ないが、とても優しい人だ。
『それに、このバンドとあの首輪似てんだろ。
首輪の代わり。』
意地の悪いところもあるけど、全部引っくるめて大好きだ。
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