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第1132話
「はい、おしまい。
後ろから回収してください。」
教師の声にぼんやりしていた意識を戻す。
長岡の事を考えていたらあっという間に時間になってしまったらしい。
カーディガンの袖を戻し時計を隠すと回収に回った来たクラスメイトにテスト用紙を手渡した。
吉田を見ると大きな口を開け欠伸をしている。
教室あったかいもんな
廊下出たくないな
出たくないと言っても終わった教科の教科書や資料集をロッカーに仕舞いたい。
足を交差させトントンと踵を爪先で叩いていると、試験監督はテスト用紙の枚数を確認し次も頑張ってねと出ていった。
開けられた扉から次々と出ていくクラスメイトを眺め少し迷う。
寒いけど片付けてくるかと重い腰を上げる。
廊下に出るとあまりの寒さにやっぱり帰りにまとめて片付ければ良かったかなと思っていると、見慣れたスーツが視界の端に映った。
テスト用紙を手に準備室へと戻るその後ろ姿。
出て来て良かった
次のテストも頑張れそうだ。
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