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第1133話

3年生教室の前を通るともう数人しか残っていない。 大多数の生徒達は早々に帰宅した様だ。 早く帰れるなんて羨ましい。 「長岡せんせ…、あの、」 「相川先生。 どうかされましたか?」 「お昼…ご一緒に、出来たらと思いまして…」 背後から声をかけてきたのは白衣を着た相川だった。 段々と下を向いてしまう生物教師に、国語教師はにっこりと微笑む。 「勿論です。 ご一緒させてください。」 「あ…はいっ。」 相川に生物準備室を提供してもらいそので昼を済ます事になった。 自分の机の上はテスト用紙が既に積まれているし、汚さない様気を付けて昼を食べる心配がなくなるのは有り難い。 そう申し出ると相川はふにゃりと表情を変える。 いきなり一緒に昼飯なんてどうしたのだろうと思ったが、行ってみてその理由がわかった。 「相川先生にお誘いしてもらえて嬉しいです。 それに、カレーまでいただいてしまって。」 「大家さんから沢山いただいたんですけど、あまり量を食べる方ではなくて…。 消費に手伝ってもらって…すみません。」 ダルマストーブの上のやかんであたためられたパウチのカレーを見せられ納得だ。 このスパイスのにおいも奥まった生物室、そのまた奥の準備室なら廊下を気にしなくて済む。 しかも、生物室があるのは3学年と同じ階。 長岡は有り難くカレーを口に運んだ。 「そんな事気にしないでください。 僕こそカレーが食べられて嬉しいです。」 「そう言ってもらえると…。 ありがとうございます。」 はにかむように笑った相川のその顔は素朴で飾らない人柄が滲み出ている。

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