1139 / 1273
第1139話
隣でごくごくとコーラを飲んでいた友人は、きりっと前を見据えると口を開いた。
「あのっ、春休みみんなで遊ばない…?
水族館とか。」
吉田の決死の誘いにその場にいたみんなはきょとんとした。
話に交じらないと思ったら、どう切り出そうか考えていたらしい。
「いきなりだな。」
「私はいいよ。
ね、未知子。」
「うん。
私も良いの?」
「勿論っ。」
楽しそうな女の子を横目に、三条と田上はこっそりと吉田の腕を引くと話し掛ける。
「みんなでって、知佳ちゃんだけ誘わねぇの?」
「……2人はハードル高い。」
「ヘタレ。」
「ぐぅぅ…」
でも、良いよ、行こう、と続けると吉田は嬉しそうに頷いた。
だって、みんなで水族館なんて楽しいに決まってる。
「どうかした?」
「なんでもないよ。」
未知子ちゃんも2人だけじゃなくて良いのかと視線を寄越したが、大丈夫とアイコンタクトをするとまた楽しそうに知佳ちゃんと話はじめた。
知佳ちゃんも、吉田の気持ちは知っている。
それでも、避けたり気持ち悪がらないでいてくれるのは、友人としても嬉しい。
ともだちにシェアしよう!