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第1155話

ぶらぶらと歩いていると、蒸かし湯気とは違う白を見付けた。 足湯だ。 湯温で周りの雪が溶け、綺麗に舗装された地面はビシャビシャになっている。 「ん? 足湯か?」 三条の視線に合わせ少し首を長岡からふわりといいにおいがした。 視線を横にズラすと整った顔が目の前にある。 その頬にキスしたいな、なんて思ってしまう。 「流石に浸かってる方はいませんね。」 「入るか?」 「え…」 スタスタと先行く長岡はしゃがみこむと手を浸し、良い湯加減だと手招いた。 「タオルとかねぇけど、どうする。」 「手だけあっためて良いですか?」 「勿論どうぞ。」 お湯に触れると少し熱めの湯温が気持ち良い。 隣に立つ長岡は両手をポケットに突っ込み白い息を吐いている。 じっと見詰めていると、視線に気が付いた恋人は此方を見て微笑んだ。 「どうした。」 「正宗さんは寒くないですか?」 「俺は大丈夫だ。 遥登こそ寒かったらすぐ言えよ。 何も言わずに連れて来ちまったからな。」 「はい。 ありがとうございます。 でも、大丈夫ですよ。」 お湯の中で手をグーパーさせ悴みが溶けると手を払って水気を切る。 それを見ていた長岡はハンカチ位持ってきてたら良かったと言ったが正直あまり気にしてない。 若々しく水を弾く三条の肌はすぐに水の玉を吹き飛ばした。

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