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第1164話
底に着いていた手を取られ細い指と節の目立つ指が絡まった。
「…っ!」
ぴくりと肩を震わせ、隣を見上げるとキスが降ってきた。
それだけにはとどまらず、下腹部をまさぐりだす。
「正宗さん…?
なんで、腹を触って…」
怪しい雰囲気に腰を引こうとすると、それより早く腰を抱かれてしまう。
先に身体の汚れを落とした長岡の髪から冷たい滴が身体に落ちてくる。
ぐっと色気の増した恋人にはっとした。
「だ、め…お湯汚しちゃ、います…」
「出てしたら風邪ひくだろ。」
「今じゃなくても…ん、ぁ…」
「温泉でセックスも、醍醐味だろ。
ちげぇの?」
「…どんなだいご、み…んっ…だって……ここ、半分そとっ」
「あぁ、あんまでけぇ声出すとバレるな。
兄弟で“ナニ”してんだって。」
ばちゃんと波紋を広げる湯舟はどこに逃げても長岡の手が届く。
腕を捕まれすぐに長岡の胸に抱き留められた。
細い見た目よりずっと逞しい胸板に心臓がドクドクと騒ぐ。
心臓が、痛い。
「排水、こ…詰まる…」
「俺が掃除する。」
「そ、んな…」
耳の後ろにちゅぅっと吸い付かれ、ゾクッと快感が走った。
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